覚悟を決める
既往性の心筋梗塞者の本来のあるべき姿とは何なのかを考えた時、すぐに出てくる答えはウオーキングなどの有酸素運動を行い食事制限など自制を続けて再発防止に努めること。
長く生きるということを基本に考えれば静かな生活を送ることである。
しかし、私がここまで復活できた裏側にはそれなりの覚悟がある。あえて激しい運動マラソンを継続する道を選択した訳であり、そこに至るには覚悟がなければできない。命を落としても納得する覚悟。後悔はしない覚悟。本望とする覚悟。死はいつも隣合わせ。いつも意識しなければならない。
心筋が40%壊死していることが判明し、残された60%で何ができるのかを考えた。マラソンを続けるにはあまりにもハンデが大きすぎる。壊死した心筋は回復することがない。数千万円をかければ大阪大学とテルモで研究を進めている心筋再生手術を受けられるがまだまだ道は開かれていない。残された60%の心筋を時間をかけて強化し、機能性をアップすることに努めた。ゆっくりジョグ、LSD、ビルドアップ、変化走、ペース走を繰り返し行うことで心肺機能を強化した。およそ4年の月日をかけてサブ4に復活。サブ3.5を目標にするところまで辿り着いたが、この1年は足踏み続き。それどころか過激すぎるトレーニングがたたって左右の心房に若干の異常が見られる。無酸素運動とされる領域でのトレーニングが多すぎたせいか心房が拡大してしまった。
命第一主義、健康第一主義として過ごすならば直ちにこの過激なトレーニングを中止してサブ3.5の目標を捨てることが正論。
それでいいのか?
答えはNo
バイパス手術から目覚めたときにまず最初に考えたことは
「もう一度走りたい」
「焦らない。腐らない。諦めない。」
強い意志で数々の成果を得てきた。
今の目標はまず3時間40分を切ること。
そしてサブ3.5
今の私の身体でのサブ3.5は、サブ4とは比べものにならないほどハードルが高い。
42.195キロ走るのに平均でキロ5分を切らなければならない。無酸素運動の時間がとてつもなく長く続く。
だから今まで以上に
「焦らない。腐らない。諦めない。」
の忍耐が必要だ。
無酸素運動を有酸素運動に変えるほどの更なる心肺機能の強化が必要だ。
地道なトレーニングで強くするしかない。
もう一度原点に帰って純粋に清らかな気持ちで励みたい。邪心を払拭したい。
サブ3.5
それは私のマラソン人生における最終章になるだろう。